東北サポート基金 2014.08.01

ZERO-ONE瓦礫再生プロジェクトからお礼の手紙が届きました

稲垣潤一東北サポート基金
稲垣潤一様

いつも私どもの活動にご理解頂き、そして多大なる支援をしていただきまして誠にありがとうございます。
2011年3月11日私たちのふるさと東北に起きたこの出来事は、もう立上がる事なんて無理なんじゃないかと思う日々でした。

地元で小さいながらもプロとして和太鼓演奏活動をしていた私たちは、沿岸部の皆様の役に立ちたいと言う事で避難所に出かけ、元気になっていただこうと演奏をはじめると「太鼓の音が地鳴りみたい・・・」「子どもたちが怯えるからやめてくれ!」と・・・内陸の私たちも立上がる術を失い、また、音楽活動を止める決断を着々としなければいけませんでした。

そんな中、人として出来る事、瓦礫の撤去作業や炊出しの手伝い等を行っているうちに沿岸部のあちらこちらに、日に日に高く積み上がる瓦礫の山を見て、『この瓦礫と呼ばれているもの一つ一つが家族の団らんの一部だったのだな・・・』震災ゴミとして処分されてしまうその記憶の一部を、人間の再生する力を信じて楽器に出来ないか・・・との想いを巡らせておりました。

瓦礫(私たちは思材と呼んでいます)を私たちに譲っていただく為の行政との交渉、各楽器製造者への協力など動き出してみれば困難な日々でした。
しかし、その行程は確保したものの、問題は重機を使って柱や梁を分別する作業、製造会社へ輸送する手段、乾燥させる為の思材置場、制作にかかる実費など、混乱の中での資金調達は私たちの生活も脅かす(何せ本業のコンサートは開けないのですから・・・)ものとなり、もはやこれまでか・・・と言う時に稲垣さんから連絡をいただきました。
以前から音楽の仕事でお世話になっておりましたが、その思いがけない提案に私たちが再び希望を持てた事、あの日の事は忘れません。
そして再生大太鼓が完成し、最初の支援先だった石巻市立雄勝中学校へ寄贈、女川町へ寄贈、さらに今年は岩手県野田村立野田中学校への太鼓寄贈(既製品)と、太鼓の再生もそうですが、沿岸部の太鼓に関わる方々の希望へとつながり、それぞれが立上がる事が出来、コミュニティの中心にそれらの楽器があると聞いております。

そして、この度復興の証として、宮城県内の木材による震災瓦礫の処分終了という発表を受け、私たちの当初の目標であった、ZERO-ONE瓦礫再生プロジェクトの楽器製造部門は目標の達成とともに終了する事となりました。
このプロジェクトはみな様の支えが無ければ出来なかった事、重ね重ね感謝を申し上げます。

これからは、私たちも、私たちのもとに楽器としてやってきた再生太鼓と共に、演奏活動を通して「東日本大震災を風化させない!」「ふるさとの子どもたちに希望のある未来を!」をテーマに活動して行きます。

最後に・・・お礼しても何処にも足りないのですが、瓦礫再生プロジェクトの最後の完成楽器は「スネア」でした。是非、稲垣さんにもこのスネアを使用していただけないか、という事で寄贈させていただきます。
どうか受け取ってください。
世界に一つしか無い「スネア」です。

近い将来、稲垣さんと、寄贈した太鼓を打つ子どもたちと(出来れば私たちも一緒にw)再生楽器で再びコンサート等を開催して、ファンのみな様にも見ていただけたらな、などと想いを巡らせております。
どうぞこれからも、やっと前を向けるようになったふるさとの、また違った形でのサポートは必要です。
引続き、音楽を通した支援、よろしくお願いします。

ZERO-ONE瓦礫再生プロジェクト 一同